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本のご紹介

先日、『ひきこもる小さな哲学者たちへ』という本を読みました。

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『ひきこもる小さな哲学者たちへ』は臨床心理士の小柳晴生さんが、

20年余りにわたる学生相談の仕事の現場をもとにして書かれた本です。

毎日新聞の四国版に、2000年~2001年にかけて連載された記事をまとめたものだそうです。
(2001年出版)


この本は、私にとって、

走り続けている日々、少しだけ立ち止まって、まわりの景色を見て、そして

これから走っていく目の前の道を再確認するような本でした。

まえがきと第1章だけでも読まれると、特に、このブログでつながっている方々であれば、

普段感じていることの大切さを、改めて感じられるのではないかと思い、ご紹介します。

少し長いですが、是非読んで頂きたいです。

中略しますが、以下のようなお話です。


この本のテーマは、

「豊かさをどう溺れずに生きてゆくか」、「豊かさを生きるにはどのような力や知恵がいるのか」、

「それはどうしたら身につくのか」を考えることです。


そして、わかりにくくなったといわれる子どもたちを

「豊かさを生きる」という観点から読み解こうとするものです。
(中略)


豊かな時代というのは、日々の食卓が、「食べても食べても減らないバイキング料理」のようなものです。

あり余るほどの料理に囲まれながら、食べた実感もなく、食べたいものがないのです。

あるいは、「巨大テレビショッピングの世界」に放り込まれたともいえます。

テレビで15分ごとに流されるおびただしいコマーシャルがその象徴です。

全く相互に関係ない商品の映像が絶え間なく流れ、あらゆる欲望がささやきかけてくる

「誘惑の地雷原」を歩き続けることになるのです。

こうした世界で、誘惑に溺れたり、立ちすくんで動けなくなったり、

意識を失う子どもたちが出現しても不思議ではありません。

いまのところ豊かさと子どもたちとの関係は、うまく対応しかねている否定的な側面が

クローズアップされがちです。この現象は、「子どもたちが精神的に弱くなった」、

「生きる力が弱くなった」と説明されたりします。

しかし、子どもたちの精神世界に深刻な問題が生じているのではなく、

「豊かさを生きることの難しさ」に直面しているのです。

                           「まえがき」より引用



豊かさは、欲しい物がすぐに手に入るという安逸さをイメージしがちですが、

実際は「物と情報があふれるジャングル」であり、「豊かな時代」はこれまでの「欠乏の世界」

とは異なっているので、生きる力の質を変えるばかりではなく、より高いレベルを必要とするのです。(中略)

大人も子どももめまいを起こすほど早い変化に、やけを起こさずつきあう方法をみつけるという

課題に直面させてれているのです。(中略)

結局は、自分で情報の重さを判断する作業が必要になるのですが、

毎日洪水のように流れ込む情報に対して個人の判断力で太刀打ちするのは困難で、

判断停止の状態を生み出しやすいのです。

昔なら1年がかりで伝わってくるような海外での政治状況や災害、凶悪な事件が、

まるで隣町で起こったように報じられます。

ショッキングな映像であるほど、繰り返しテレビ画面で見せつけられます。

私たちの精神は、これに耐えられるほど強靭にはできていないので、

世界が不安に満ちているという感覚に襲われても不思議ではありません。(中略)

欠乏の時代の生き方が皆でそろっての電車やバスでの団体旅行だったとすれば、

豊かな時代の生き方は、個人や少人数での車での旅行といえます。

団体旅行は、自由に行動できない不便さはありますが、

旅行仲間とは、目標を共有し「同じ釜の飯を食う」一体感があります。

一方、個人旅行では、どの道を行くか、どこに泊るか、いつ食べるか、

旅行のすべてを自分で決めなければならないのです。

自分の裁量による部分が大きくなり、どう判断するかで結果が大きく

異なるのです。選択肢が多くなった分だけあいまいさが増え、その中を手探りで

進まざるえなくなったのです。判断という作業は孤独を感じさせるものです。(中略)


このような豊かな時代を生きるには、これまでとは違った知恵や力が必要になるのです。

その第一の力は「あいまいな状況を探索的に生きる力」です。(中略)

第二の力は「自分とつきあう力」です。(中略)

第三の力は、「自分と折りあう力」です。(中略)

第四の力は、「内的な倫理観や価値観、センスに裏付けられた節制力」です。(中略)

豊かな時代は、関わらない、取り入れない、不要な物を捨てるという、

物と情報との新たなつきあい方が必要になってきたのです。

この知恵は誰も知らないために外から学べるものではなく、

自分の声を聴き自分の内側を見つけ培っていくしかありません。

そのために、大人も子どもも「ゆっくり自分と向き合う時間」を確保することが

求められているのです。

   
                            「第1章」より引用




やはり、「生きる力」が求められるのですね!

いくら小手先の技術的なものを数多く習得したとしても、

そもそもの「生きる力」が備わっていなければ、そのような技術は

何の役にも立たず、それどころか、返って、自分を惑わし苦しめるものになるのでしょう。



今のお父さん、お母さん達は、

欠乏の時代の終わり頃から豊かな時代に移り替わる、

丁度の時代を生きてきた年代ではないでしょうか。


今回、私は、この本を読んで、

豊かさにおぼれている自分に気づかされ、

今、目の前にいる大切な大切な小さな存在が、

豊かさという海に、一人、必死に、揺さぶられながら船を漕いでいることを

認識させられました。

愛する人を「守る」ことを、ゆっくりと、考えたいですね☆





Smile^^。
by tubomilog2 | 2015-03-27 12:16 | 毎日のできごと